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十二月某日 晴

半身浴をすべく、先日買ったばかりの青い本を浴室へ持ち込むが、
うっかり手が滑り、本が湯船の中を泳ぐ。
外表紙をはずし、あわてて一枚一枚タオルでふいてゆくが、
きりがないことに気づく。
裸のままの自分にも気づく。
落ち着いて服を着て、ページ毎にティッシュをはさんでいくことにする。

一枚、一枚めくっていて思い出したのは、
広島の平和記念公園で行われる風通しの儀式の映像だ。

先日、母校が企画運営をするいろは展で行われた対談
(立花文穂さんと、鈴木康広さんのお話を聞き、立花さんの映像を見せてもらいました)の時に見たものだった。
年に一度、平和記念公園では、百冊ほどある原爆死没者名簿に傷みがないかを確認する
「風通し」が行われるとの事。

白い布の上に一冊ずつ並べ、手袋をした人が正座でページをめくってゆくあの姿が、
脳裏をよぎる。

事実があって、
道のりがあり、
風が流れる。

水と空気を含んだ本は、なんだか ずっしりと重い。